らいおんハート




 

 厳しい冬の寒さからようやく解放されたように梅の蕾が綻び始めると、もうすぐそこに春があるのだと教えてくれているような気がする。
 隊舎の近くにある梅の木も、ついこの間まで硬い蕾のままだったはずなのに、ゆっくりと花を開こうとしていた。俺はその梅の木を眺めながらそっと息を吐く。
 梅を見ると雛森を思い出す。
『飛梅伝説ってね、わたしの斬魄刀の名前だし、ちょっとお気に入りなの』
 少しはにかみながら笑って、その本を見せてくれたことがあった。
 
 主人は庭木を愛でることが好きでした。
 その庭木たちの中でも、とりわけ桜と梅と松を大切にしていました。
 庭木たちも幸せでした。
 しかしある日突然、彼は庭木たちに別れを告げて遠い所に行ってしまいました。
 桜は悲しみ葉を次々に落とし枯れてしまいました。
 松と梅は彼の元へと飛んで行きましたが、松は途中で力尽き落ちてしまいました。
 結局、主人の元へ辿りつけたのは梅だけだったのでした。
 
 敬愛する上司に裏切られても「藍染隊長」と呼び続ける雛森は、主人の元まで一生懸命飛んで行った梅にどことなく似ている気がした。
 
 
 
 
「ねぇ隊長」
 執務時間中、隊長である俺の目の前で、優雅に現世のファッション雑誌をめくっていた副官の松本はふと手を止めた。
「なんだようやく仕事する気になったか」
「いや、そうじゃなくてですね」
 違うと堂々と俺に向かって言ってのけるのはどうかと思うのだが。
 副官はそんなこと気に留めたようすもなく、「雛森のこと、どうして教えてくれなかったんですか?」と、意味ありげな顔をする。何のことを言っているのかさっぱり見当もつかず俺が渋い顔をしてみせると、松本は驚いたように長いまつげをパチパチと瞬かせた。
「だって、平子隊長が雛森を連れ戻したんでしょ?」
「……そうなのか?」
「あっ! 隊長、筆!」
「うわぁ」
 握っていた筆をあやうく書類の上に落としかけた。
 雛森の隊への復帰が予想よりも早かったことに驚いた。正直なところ、もう少しかかるのだろうと思っていたからだ。
「隊長知らなかったんですか?」
「悪いかよ」
「悪く無いですけど、雛森からもう聞いてると思ってましたから」
「聞いてねえよ」
 ストーカーじゃあるまいし、いちいち嗅ぎまわっていられるほど俺は暇ではない。そもそも、五番隊の副隊長は雛森のまま留任させたいと平子が総隊長に進言していたことは知っていた。あいつさえ立ち直ることが出来れば、そこの副隊長として、いずれは復帰すると思っていた。きっとうまいことあいつを立ち直るをキッカケを平子が作ったのだろう。
 さすがあの五番隊の隊長に再び着こうとしているだけはあるとひそかに感心しつつ、松本は空気を読んでその話題から手を引いてくれと、俺は頭の中で念じていた。
「もしかして、ずっと会ってないんですか?」
 念じるだけじゃ足りなかったようだ。
「忙しいからな」
「えー? 今、そんなに忙しくないじゃないですかァ」
 ケラケラと笑い飛ばす松本に、顔が引きつった。
「てめぇが仕事しねぇから俺が忙しいんじゃねェか松本! この話は終いだ! 早く仕事しろ!」
「はーい」
 机の上に山のように積み上げられた書類を指差して怒鳴ると、松本は気の抜けたような謝り方をして渋々手に持っていた雑誌を閉じた。本当に反省しているのだろうか、と俺は盛大にため息をつく。
 任務中は頼もしい副官なのに、机仕事になると途端にこれだ。いい加減怒らなくても仕事をするようになってほしい。
 ようやく真面目に仕事を始めた松本をしばらく見てから、俺も机について書類に目を通し始めた。やっと仕事に打ち込める、と思った矢先、「ねぇねぇ、隊長」と、早速松本が話しかけてきた。この女は集中力が5分と持たないのか。
「ずっと気になってたんですけどね」
「何が」
「回りくどいの嫌いなんで単刀直入に言っちゃいますけど」
「だから何が」
 急かせるように声を大きくすると、松本はさっきまでのお茶らけた雰囲気を仕舞い込んで俺の目をまっすぐ見た。
「雛森に会うの怖かったりします?」
「――……」
 思わず絶句する。
 怖い? そんな、まさか。
「は? なんでだよ」
「んー、なんとなく?」
 少しにらみながら松本を見ると、またいつものようにふざけた笑いを浮かべてネックレスにしているリングを指で弄っていた。
「怖くねぇよ。つーかなんで怖がらなきゃいけねぇんだよ」
「まぁ、そうですね。そうだ、ちょっと空気の入れ替えしますね」
 松本は一人で納得したようにうなずき、執務室の窓を全て開け始めた。わずかに湿り気を帯び始めた空気が流れ込み、部屋の中を通り抜けていく。青い空が窓の外から顔を覗かせていた。松本は窓際の壁に凭れて、うん、と背伸びをする。
「雛森、仕事しまくってるみたいですよ」
 あいつらしいと思った。雛森は真面目だから、自分が隊から離れていた分の仕事を周りが驚くようなペースでこなしていきそうな気がする。無理をしていることに自分では気が付きそうにないから、きちんと休むように言ってくれるヤツが居るといいのだけれど。いや、あいつを連れ戻した平子なら、その辺も上手くやっているだろう。
「もう、雛森の話は終いだと言っただろうが」
 ため息をつき、また書類に視線を落とす俺を見た松本は、隊長は本当に真面目なんだから、と呆れる。
「これ、隊長よりも少しだけ長く生きてるあたしの意見なんですけどね。いろいろごちゃごちゃ考えないで、会いたい時にちゃんと会って、伝えたいことちゃんと伝えたりすればいいんです。知ってます? 大人になればなるほど出来なくなるんですよ。そういうこと」
 俺と雛森のことを気にかけているのだろう。
 藍染との戦いの後、俺は雛森の見舞いには数える程度しか行けていなかった。見舞いに行けば目の下にクマを作って辛そうな顔をしてるくせに、それでも心配かけまいとしてか「シロちゃん」と、あいつは笑う。正直そんな雛森は見ていられなかった。
 それが怖いという感覚なら、俺はあいつに会うのが怖いのかもしれない。
 確かに、どんなふうにあいつと向き合えばいいか今の俺にはわからなかった。
 
 藍染の鏡花水月の能力のせいだったとはいえ、俺は自分の刀で雛森の身体を貫いた。その時の感触は今でもこの手の中に在る。
 ――シロちゃん、どうして。
 掠れた声は、頭の中で鳴り響く。
 雛森を殺しかけた現実は俺のすぐ傍に在って、忘れるなと戒める。
「……そんな簡単にいくかよ」
「それでも。無理やりにでも会ってうんですよ」
 あたしは、それもできなくなっちゃったから。
 目を伏せて笑う松本はどこか寂しそうだった。
 

 
 
 
 
 

 西訛りの方言をしゃべる金髪のおかっぱ頭の男はどうしたってかなり目立つ。
 松本にお願いされ三番隊に書類を届けに行った帰り道で例の男、平子真子とあった。まだ正式に五番隊の隊長として就任しているわけではないが、すでに真新しい隊長羽織を羽織り、慣れたように瀞霊廷を歩いていた。
 俺が平子を見つけたのと同じようにあいつも俺を見つけたらしい。すぐに近寄って話しかけられた。
「ジブン、十番隊の羽織着とるから……、ひつがや」
「日番谷冬獅郎だ」
「そうそう、冬獅郎や。桃の幼馴染の隊長サンやんな? いつもアイツから聞いてるで」
 にっと並びの良い歯を見せて平子は笑った。
 一度は虚として処理されるはずだった平子たちの100年という歳月は、決して短くは無いだろう。藍染への恨みはもとより、真相を知らなかったとはいえ残酷な処分を下した四十六室と、それを是とした死神に対して思うところはあったはずだ。
 何を思い自身が率いていた隊に再び戻ることにしたのか俺には知る由もないが、簡単に決めたことでは無いのだろう。
 100年間ずっと一緒に居た仲間には早々に現世に戻ってしまったも者もいると聞いた。それに、五番隊は未だに藍染の呪縛から逃れられないものも多い。人には言えない葛藤や苦労があっただろうと思うと頭の下がるような思いだった。

 
 総隊長の所からの帰りだったらしい平子を引き留めて、近くの茶屋に入った。
「100年前にはこの店無かったわ」なんて独り言を言いながら興味深げに店の中を見渡していた平子は、注文していたお茶がくると早速音を立ててそれを啜った。俺もそれに倣うように一緒に飲んで一息つく。思ったよりもせっかちなのか平子の方から話を切り出してくれた。
「話ってなんや? あんまり隊を空けてると桃が煩いよって手短に頼むわ」
「ああ、そうだな」
 もちろん俺もまだ執務時間中だし、そんなに手間は取らせないつもりでいた。俺は手に持っていた湯呑を脇に寄せてから言った。
「雛森の様子は、どうだ?」
「……は?」
 聞き取りにくかったのだろうか。平子はポカンとした顔で俺を見ている。
「いや。だから、雛森の様子は」
「そんなん一度言えばわかるわ。ちゅーかそんなこと聞くために俺とここ入ったんか?」
 俺が何も答えずに黙ったままでいると、平子はぺチンと小気味良い音を立てながら額に手を当てた。
「ホンマかそれ。そんなん直接桃に会って聞けば済むことやろ、しょーもな」
 まったくもって平子の言うとおりなのだが、それが出来るならこの男をわざわざ呼び止めてなんかいない。とっくの昔に雛森に会いに行っているだろう。だからと言って開き直ってそんなことを認めて言うのも、なんとなく悔しい気がした。おそらく平子には臆病者だと思われているだろう。
「すまねぇな。情けない隊長で」と俺がふて腐れた調子で言うと、そんなんことで怒るなと、平子は面倒くさそうに頬杖をついた。
「会いにくいのはわからんでもないで。自分の手で幼馴染に手をかけたようなもんやもんな。俺もその手伝いしたようなもんやし、責任感じるわ」
 平子は何か考える素振りをみせて少しの間だけ沈黙し、また口を開く。
「桃は元気やで。ようやってくれるしな。ちょぉ、頑張りすぎるところがアカンけどな」
「そうか」
 それならいい。
 平子は雛森のことをよく見てくれているようだし、雛森が元気にしているのなら、それで。
 あいつの一番傍にいるはずの平子からそれが聞けて、俺は一人で勝手に満足していた。
 そんな俺の様子を見て、平子は気に入らなかったのか眉を吊り上げた。
「元気なんがわかって安心するのは勝手やけど、まさか俺に『雛森を頼む』とか、言わへんやろな」
「それは……ッ!」
 図星をつかれ、一瞬で血が上ったように顔がカッと熱くなった。平子はお見通しらしく、わざとらしくため息をついてみせる。
「勘弁せえよ。副官のおもりは隊長の仕事とちゃうぞ。それくらいわかってるやろ」
「わかってるよ。俺は別にあいつを公私共々頼むなんか言うつもりねえよ!」
「当たり前や、アホ。ちゅーかもうチョイ声のボリューム下げぇ。人がおんねんぞ」
「あ!? ああ」
 はっとなってあたりを見回すと、興味本位にこちらを見てくる客が何人かいた。店内に人がいたこともすっかり忘れて、大声を出してしまったことが恥ずかしくなった。目の前の平子は特に気にしているふうでもなく、アホっぽい面をして小指を耳の穴に突っ込んでほじっていた。
「桃が藍染のことひきずってんのが気になってんねんやろ? 確かにまだ精神的に不安定なところもあるのは事実やろけど、ちゃんと地に足付けてしっかり一人で立てれてるやろ。俺が言わんでもそういうんはお前がいっちゃんよう知っとる思うてたけど、違うんか?」
 ちゅーか俺、人に説教タレんの好きとちゃうんやけど。さっきの科白に付け加えるように平子がぼやく。
 雛森が強いのは知ってる。あれで本当にダメになってしまうような奴じゃないことも。
 でも、慕っていた上司に裏切られた今のあいつの気持ちを汲んでやることが出来るのはきっと平子のはずだ。憎しみしか感じることの出来ない俺よりも、昔、五番隊の隊長としてあの男を副隊長にしていた平子の方が、よほど理解してやれると、そう考えていた。
「あんな、冬獅郎。俺は桃と傷の舐めあいみたいなことしたぁて隊にもどったんちゃうで。前に進むためや。桃かてそうやろ」
「……」
「確かに桃と俺はある意味似たような立場かもしれへん。せやけど全部理解できるわけないやろ。結局自分でどないかせなアカンことや」
「わかってんだよ、そんなこと」
 自分じゃどうにも出来ないからって、人に頼ろうとしていることも。雛森に会う自信が無くて、あいつから逃げているだけでしかないこともよくわかっている。藍染のことをいまだに慕っている素振りを見せるあいつに嫉妬にも似たような感情を抱いていることも。
(ああ、くそ。俺今すげぇ情けねェ)
 俺はお茶を一気に飲み干すと、卓の上に大きな音を立てて置いた。
 そんな俺の様子を期待外れとでも言いたげな様子見ていた平子は、耳の穴に突っ込んでいた小指の先に息を吹きかけると(汚い)、二人分の茶代を雑に置いて、勢いよく音を立てて椅子から立ち上がった。
「ちょう、付き合え」
 驚いて平子を見ると俺の腕を無理やり掴んで、問答無用で引きずるように店から連れ出した。

 
 馬鹿野郎、離せ。ええからついてこい。喧嘩のようなやり取りをしながら連れてこられた先は、五番隊だった。一番隊舎までとはいかないが重く厳かな雰囲気のある隊舎を見上げ、ここに来たのはいつ振りだっただろうかと、少しばかり哀愁に浸っていると、今度は思い切り尻を蹴り飛ばされ俺は地面に転がった。
「さっさと入れや、ボケ」
「いってぇ!」
 隊長になってからもう随分経つが同じ隊長格に足蹴にされたことは初めてだ。しかも平子は茶屋の時同様俺が怒っても涼しい顔をしている。なんて野郎だ。
「何すんだてめぇは! だいたいこんなとこに連れてきて何考えてんだ!!」
「うるさいのう、ごちゃごちゃ言わんでええから行くで」
「どこに!」
「桃のところ以外にどこに行くんや」
「はぁ!?」
「はぁ!? やないわ。ガキのくせに隊長羽織着てもうとるせいで大人ぶりよって。せやからさっきみたいなくだらんこと考えよんねん」
 俺の怒鳴り声が聞こえたのか、近くに居た隊士たちが慌てて俺たちの方へと駆け寄ってくる。平子は彼らを手で制しながら俺の腕を持って引き起こした。
「く、くだらない……だと!?」
「そうや。くっだらんわ。そんでしょうーもない」
「な、な、な……ッ!」
 怒髪天を衝くとはこのことか。
 かなり真面目に思い悩んでいたことを「くだらない」「しょーもない」で片付けられたことに、さすがにこめかみのあたりが引き攣る。
「ちゃんと顔見て話したらお前が考えとることなんか一発で解決してまうわ」
「適当なこと言うなよ」
「適当ちゃうわ、ボケ。桃が自分からはなかなかお前に会われへん心境くらいさっしたらんかい」
 身長差のせいで俺を見下ろす平子は顎をしゃくらせながら言った。
「桃はなぁ、あんなことになって一番傷ついているのはシロちゃんかもしれへんって言うとったぞ。男なら大事な女にそんなこと言わすなや、アホ」
「――――」
 言葉を失った。平子が言ったことは、確かに雛森が言いそうなことだった。
 なんてことだろう。心配してるはずの俺の方が、逆に雛森に心配されていたなんて。
(何やってんだ、俺)
 両手で顔を覆うと、ひとりでに乾いた笑いが出た。
(つーか、シロちゃん言うなよ。あのバカ)
 平子に尻を蹴られたおかげなのか、憑き物が落ちたようにとてもさっぱりとした気分になっていた。
「おい平子」
「あ?」
「雛森どこだ」
「そこ、おるで」
 平子が親指を向けた先には、騒ぎを聞きつけたのかパタパタと駆け足でこっちに向かってくる腕章をつけた女の子がいた。長い髪をお団子に纏めている雛森は、たぶん俺がいることにはまだ気が付いておらず、平子のもとに駆け寄ると困ったように怒り始めた。懐かしいと感じつつも、今までとどこか違うなと思った。
 俺が知っている雛森は、いつも藍染の後ろをついて回って追いつこうと必死だった。
 でも、こうやっている方が、ずっとあいつらしい気がする。
 それに病室に居た頃よりも、ずいぶん顔色もよくなって明るくなっていた。きっと平子との関係も上手くいっているのだろう。
 本当によかったと、心から思う。
「雛森」
「シロ、ちゃん……?」
 思い切って名前を呼んでみるとちゃんと声が届いたようで、平子の方を向いていた雛森がオレの方を見た。口元を覆い、一瞬だけ信じられないという顔をしてすぐにくしゃくしゃに歪む。
「どうして? なんでシロちゃん、ここ」
「冬獅郎がな、桃に会いたいってやかましいからな、俺が連れてきたんや、……ってタハァ! 痛い!」
 急に現れた俺に少し困惑気味な雛森の横で、馬鹿なことを言いだした平子には、ローキックをかましておいた。とりあえず、お前は黙ってろ。
「いったいのう。ひとがわざわざ連れて来たったのに、なんやそれ! 恩を仇で返しよってからに!」
「うるせぇ、頼んでねェよ!」
「でも来てよかったやろが!」
「ああ、そうだよ! 来てよかったよ!」
 悔しいけれど平子の言うとおりだ。もっと早く来ればよかった。今までグジグジ考えていたことが一発で解決――はしていないけれど、殆どのことが吹っ飛んだような気がする。
 
 どうしたってあの時自分が雛森にしてしまったことを思い出すと引け目は感じる。
 不可抗力だったとしても自分自身は許せない。
 心はやぱり苦しいけれど、それでも俺は雛森と向き合っていきたい。
 会えない理由ばかりを考えるのはもうやめようと思った。
 
 横目で平子を見ると、蹴られた脚を摩りながら満足そうな顔をして笑っていた。ケツを蹴られたことといい、あのどや顔も少々癇に障るけど、今は少しだけ感謝をしたい。
「ほんとに? シロちゃん」
 俺と平子の言い合いにしばらく呆気にとられていた雛森は恐る恐る尋ねた。俺はこくんと頷いた。
 つーか、こいつ。さっきから俺をシロちゃんシロちゃんと連呼しすぎだろ。
「馬鹿野郎。日番谷隊長だ」
「うん。うん。そうだね、シロちゃん」
 目にいっぱいの涙を浮かべながら雛森が嬉しそうに笑うから、オレも少しだけ泣きたくなった。


 


日雛前提です。平子が日番谷君に言ってることは自分自身にも言っている、そんな感じです。
本来の日番谷君は自分できちんと方向性を見つけられそうな気もするんですが、桃ちゃんラブだったらあの現実を克服するのは結構大変ではないかと思うんですよねー。なので、ちょっとぐるぐるしていただきました。
飛梅伝説は平安時代に政治に失敗して大宰府に飛ばされた藤原氏の可愛がっていた庭木のお話らしいです。(詳しくは知らないので、本文ではすごくざっくりとしか書いてないです)2012.10.05